スープ作家・有賀薫さんのエッセイ『こうして私は料理が得意になってしまった』(大和書房)をご紹介します。
なんでもない日も、逃げ出したい時も、日々生活の中でどうやって料理と向き合ってきたのか、また、どのように料理が上手になっていったのか。
少しでも料理上手になりたいと思う人にとって、大事なヒントがたくさん詰まっています。

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『こうして私は料理が得意になってしまった』がおすすめな人
この本がおすすめな人は、以下の通りです。

・今よりもう少し料理がうまくなりたいけど、なかなかうまくいかない人
・頑張りすぎない自炊との向き合い方を知りたい人
・プロの台所事情をのぞき見したい人
日常のごはんのエッセイに始まり、料理の逃げ道やスープ作家としての活動、料理がうまくなりたい人のためのQ&Aなど、幅広い内容が収録されています。
有賀さんの作るスープレシピのような、シンプルだけど心に染みるエッセイです。
それぞれのエッセイの終わりには、有賀さんがよく作っている料理のレシピも載っています。
毎日の料理を続けるコツとは?

私がこの本で特に心に残っているのは、「2章 時には逃げたいこともある」に収録されている、「おいしさから逃げたい時もある」「逃げ道を作る大切さ」という2つのエッセイです。
おいしさから逃げたいとき
日々生活をしているとたまに、本当にダメな1日があります。スパッと休めればいいのですが、そうもいかない日だってもちろんありますよね。
そんな時、美味しいものを食べるという行為ですらどこかズレてしまって、うまくいかない時もあります。
そんな日に有賀さんが作る夕飯は、以下のようなものです。
p57より
「冷蔵庫の余り野菜をざくざく刻んでフライパンに次々入れて、これも袋にちょっとだけ残っているソーセージとかさつま揚げの切れ端を粗く刻んでちょい足しする。そんな野菜炒めを作るのは、こんな日です。(中略)実際それほどおいしいわけでもないし、味もぼやけている。」
大事なのは、なんとか夕飯をやり過ごすこと。
こういう日のごはんはおいしくなくても、「ふつう」でいい、という一言に救われる方もいるのではないでしょうか。
逃げ道を作る大切さ
ひどく疲れている時って、自分が思ったより疲れていることに気づけない時もありますよね。
体よりも脳が疲労していて判断が鈍り、なぜか手間のかかるものを作り始めてしまった経験はないでしょうか。
私は疲れている時に、なぜか餃子を皮から作り始めてさらにくたくたになったことがあります。
今思い返しても、なんでそんなことをしたのかわかりません。
そういう状態のことを、有賀さんは「理性で制御できず、料理をする手が暴走してしまう」と表現しています。
それに続けて、逃げ道を作る大切さに触れています。
p79
「大変なら買ってくればいい、外食でいいと言われても、疲れているときはそれを考えることすらできなくなるということを、案外作る人も自覚していないことがあります。
だからこそ、本当にそうなってしまう前に、逃げ道をいくつか用意しておくことはとても重要です。」
本当にその通りで、毎日の自炊の場合、疲れた時の逃げ道をどのくらい用意しておけるか、がとても重要だと思っています。
有賀さんは以下のようなルールを決めているそうです。
①体力が残っているけど考えるのが面倒な時→手が作り方を覚えているような、手間がかからない定番料理
②家に食材がなく、買い物にも行きたくない→缶詰やレトルト
③本当に疲れ切っている、帰宅が遅い→購入、デリバリー(定番を決めておく)
ここまで決めてあったら、忙しい毎日でもなんとかなりそうですよね。
多種多様なスープを生み出す秘訣とは?

「3章 スープが教えてくれたこと」もかなり興味深い章です。
3章は表題作のエッセイ「こうして私は料理が得意になってしまった」も収録されていて面白いのですが、内容が自炊初心者向きではないため、この記事では紹介を省きます。
スープの方程式に当てはめて考える
有賀さんがスープを考える時に、1つの型の中で考えていることに気づいたそうです。
それを簡単にしたのが「スープの方程式」。
p114
「(素材)×(だし)×(オイル)×(調味料)」
(中略)
この4つの当てはめるものによって、次々と組み合わせを作り出しています。」
この方程式から、具体的な例を挙げて説明が続きます。
素材、だし、オイル、調味料とそれぞれの簡単なルールも説明されていて、料理で悩んでいる人ならかなり参考になりそうです。
こんなに多種多様なスープをどのように生み出しているのだろう、と不思議に思っていたので個人的にかなり興味深いエッセイでした。
こちらの記事では、私個人の経験に基づいた、料理上達のヒントをご紹介しています。
有賀さんの料理のお悩みQ&A
基本通りやレシピ通りに作ることが上達につながるとは限らない
「4章 料理のピラティス」は、よく聞く料理のお悩みQ&Aになっています。
内容は私が料理初心者の頃に思っていたことも多く、大概の悩みはこれで解決するのでは?とも思います。
質問に答えるだけではなく問いかけや提案もあるため、素直に試せばこれだけでも上達しそうです。
また、章のタイトルを「料理のピラティス」にしていることについて、スポーツではインナーマッスルをバランスよく鍛えることが体を動かす上で重要なように、料理も考え方を合わせて鍛えるとパフォーマンスが上がるということに触れています。
p150より
「日々のごはん作りでは、基本通りにやることばかりが成功につながるとは限りません。予想外の出来事や制限の多いキッチンに立ったとき、どんな状況にも対応できるしなやかさ、前に進む決断力が必要になります。」
少しでも上手になりたいと悩んでいる人には、ぜひ読んでいただきたいです。
まとめ|有賀さんのキッチンに遊びに行くような気持ちで読める本
『こうして私は料理が得意になってしまった』はそれぞれの章ごとにテーマはありますが、どのエッセイでも有賀さんが日々料理をする姿が、ありのまま等身大で綴られています。
料理上手な友人のキッチンに遊びに行くように、少しでも料理がうまくなりたいと願っている人なら、役に立つものがあるはずです。
有賀さんの他の著書も紹介しています。




